カナダで生まれたにも関わらず、私たちが受けた人種差別は、世代を超えてしまった
日系カナダ人の母親と息子が言語、文化、そしてそれぞれの辛い人生経験を語り合う様子をご覧ください
「言い逃したこと」シリーズは、オタワ在住のアジア系カナダ人親子三組がそれぞれの人種差別体験や自らのアイデンティティーについて心を開いて語り合う親密な会話を捕らえたビデオシリーズです。
上記のビデオで、この日系カナダ人親子の会話の全部をご覧ください。会話の一部は下記をご覧ください。会話スタイルと明確さを維持しながら、要約と編集をしています。
日本訳: シェルトン恵美理
私の名前はメリッサ・ミハル・カミバヤシ・ステー プルズです。若い頃、私は日系であることを他人に言うのが恥ずかしいと思うことが時々ありました。
マスメディアでアジア人に対する否定的なイメージを見てきたことや、日系カナダ人が迫害されてきたという歴史があったからです。
そのため、日本人であることを隠すようにと、育てられました。
私の家族は、1900年代初頭(明治30年代頃)にカナダのバンクーバーに移住してから、百年以上もカナダに住んでいます。私の両親の家族らは土地と家を剥奪され、財産や所持品を全て政府に没収され売り飛ばされ、そして家族らは収容所に送られてしまいました。
ライアン、ちょうど今日「あなたが小さい時に、もっとお母さんが日本語で話してくれたらよかったのに」って、言っていたわね...でも、お母さんはそこまで日本語が上手じゃないの。私たち日系人の迫害の歴史のせいで、私たちは日本の文化や言語まで失ってしまったの。
今では日系カナダ人の多くが3世、4世、5世の世代目になり、日本人のルーツから切り離されてしまっていると思うわ。
私が若いときに受けた体験、下等扱いされたこととか...あなたには絶対にそんな目に会って欲しくないの。
でもお母さんの目から見ると、ライアンはとても自分に自信を持っているようだし、お母さんもライアンが自分自身と自らのアイデンティティーの全てを肯定的に受けいれられるように教えているから、それほど心配していないのよ。
あなたのことを偏見だけで判断する人や、ライアンの素晴らしさを全く見ようとしない人達に多く出会うことがないように願っているわ。
僕の名前は、ライアン・サトシ・ステープルズです。11歳ですが、そんなに人種差別を受けたことは無いと思います... ただ、時々人種差別なのか分からないことがあります。単なる質問だったりたりするので...
「どこから来たの?」「日本語話せるの?」「この日本語の意味を教えてくれる?」「空手はできる?」とか、表面上は人種差別ではないみたいだけど、実は人種差別かもしれない。
ねぇ、お母さんは日本人で、お父さんは英国系とアカディア系のミックスだよね。昔は、僕はカナダ生まれだから、「カナダ人」と思っていたけど、日本ってすごくカッコイイ物がたくさんあって、今はやっぱりなんか日本人だったら良いなと思うようになったよ。
前に読んだ本で、僕のおじいちゃんやおばあちゃん達みたいな日系カナダ人が収容所に送られたこととかが書いてあった。
だから、もしかするとカナダに来るのは間違いだったのかも知れないと思う、だからと言って、他に何処に行くべきだったのかはよく分からないけど。
ねぇお母さん、本当にお母さんの子で良かったと思っているよ。